あなたが私を見つける日まで
そんな自分が悔しくて泣きたくて、でも今家に帰ったらいじめっ子に負ける気がして、必死の思いで保健室に逃げ込んだ。


そして、私はあれから1度も教室に入れないまま、保健室で日々を過ごしている。



「っていうのが、理由なんだけど…」


全てを話し終えた私は、途中から色々と思い出したせいでぼやけた視界の中、ふと横を見やった。


「寝ちゃった…?」


しかし、私の話を何処まで聞いていたのか、日向君は顔をこちらに向けたまま気持ち良さそうな寝息を立てていて。


心の何処かで、聞いていて欲しかったな、なんて思う気持ちもあるけれど、でも日向君が寝た事に対して安心している自分が居るのも否めない。


「よっぽど疲れてたんだね、日向君」


家事に部活に勉強、三足のわらじを履いて頑張っている日向君の事は本当に尊敬しているんだよ。


「私も寝よっかな、」


すやすやと熟睡している日向君を見ていると無性に愛しくて、そして私まで眠気に襲われた。



「……だいすき、」



彼を絶対に起こさないように小声で囁いて、顔が赤くなるのを感じる。



…やっぱり、眠いと人は正直になるんだよ。


リンゴみたいな色になったであろう頬を押さえ、私はベッドに深く沈み込んで目を瞑った。
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