あなたが私を見つける日まで
「…俺が凛ちゃんに会いに来るから。そしたら、もう1人じゃないだろ?」


覚束無い足でテーブルまで辿り着き、鏡を見ながら冷えピタを貼っている彼の目と私の目が、鏡越しにぶつかり合う。


(日向君、どうしてそこまで…)


どうして、彼はこんな私といつも話してくれるのだろう。


私は日向君の事が好きだけど知られないように頑張って隠して、でも日向君は私をどう考えているの。



「何で、そこまでしてくれるの…?私は、日向君の、何なの?」


言葉を覚えたての子供の様にたどたどしいそれは、日向君の周りをふわふわと漂う。


「んー。凛ちゃんは、俺の大事な友達?」


こちらを振り向いてそう言った日向君は優しい笑みを称えていて、その“友達”という言葉が私の胸を余計に抉ってくる。


「こんなに仲良くなれたのマジ嬉しいし、俺がこっち来れば凛ちゃんは寂しくないし。凛ちゃんは凛ちゃんのペースで良いんだよ」



日向君がとても良い言葉を伝えてくれているのは分かるけれど、脳がそれをきちんと処理してくれない。


やっぱり、あんな事聞かなきゃ良かった。


私ばっかり日向君をそういう目で見て、そもそも保健室登校をしている女子をこんなイケメンな男子が好きになってくれるはずないのに。
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