あなたが私を見つける日まで
いひひ、と笑う日向君を恨めしげに見つめながらそう言うと、大きなため息をつかれた。


「だーかーら、俺は凛ちゃんと友達になりたくないって言ってんの」


あ、さっきと同じ台詞。



でも多分、もう彼が言わんとしている事が分かった気がする。





「凛ちゃん、俺と付き合って欲しい。……友達じゃなくて、彼女になって下さい」





「…ふふっ、」



冷えピタを貼った姿で真剣にこちらを見つめてくるところが、いかにも日向君らしい。



溜める事もしないで阿吽の呼吸で頷くと、彼は今日一のとろけるような甘い笑顔を浮かべた。


「ひひっ、もう凛ちゃん教室来なくていい。保健室に居たらずっと俺のもんになるでしょ」


「何それ、私だって普通に教室行きたいんだけど?」


「知ってるよ。冗談冗談」


私よりも火照った顔をしている日向君は、潤んだ瞳で私の顔を隅から隅まで見つめてくる。


そのまま下唇を舐めた彼が発したのは、


「せんせー来ないし、キスくらいしても良いよね?」


いつもの言動からは想像出来ない程の甘ったるい言葉。


「ちょっ!?」


その不意打ちに驚いた私は、忙しなく目を動かした。


「ちょっと待って、いくら何でも早過ぎない…?」
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