あなたが私を見つける日まで
「英語英語!俺は日本語があれば生きていけるんで、寝てていいっすよね?」


どんなに注意しても感謝の言葉以外で“です”“ます”といった敬語を使わない日向君は、誰にでもフレンドリーに接するから生徒や教師を問わず多大な人気を誇っている。


だから、


「仕方ないわね。寝かせてあげるから、学校から帰ってからも早く寝るのよ」


「っしゃ、ありがとうございます!」


竹本先生の半ば呆れたような声にガッツポーズで答えた彼は、


「凛ちゃーん、隣貰うよっ」


と、こんな私に対しても明るく声を掛け、決して柔らかくはないベッドに頭から飛び込んだ。


案の定、隣からはボスッ、という若干痛そうな音が聞こえてきて、思わず笑ってしまう。


「じゃあ、先生は次の時間は一旦職員室に顔出すから、しばらく2人でお留守番しておいてくれる?他の生徒が来たら呼びに来てくれれば大丈夫だから」


口角が上がったままの私に先生が声をかけてきて、はい、と阿吽の呼吸で返事をした。




「頼んだわよー」


そして先生が居なくなり、保健室のドアが完全に閉まった瞬間。


「うあーやっっば、ガチで痛いんだけど頭!なのに目ギンギンに冴えてるし」


隣でうつ伏せになっていたはずの日向君が、タイミングを見計らったかのようにのそりと起き上がった。
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