あなたが私を見つける日まで
「日向君、絶対寝た方がいいよ」


何十分も前に勉強を放棄した私は、枕に寄りかかって横を向いた。


「いやー、それも良いけど、せっかく2人きりなんだし勿体なくね?」


「ええっ…?」


横向きになった彼はビー玉のように澄んだ目をこちらに向けてきて、近距離で見る美しさに顔が赤くなるのを感じる。




これだから、日向君はフレンドリーなくせに無自覚でこういう事を言うから、好きになってしまったんじゃないか。




早くなった心臓の鼓動がはっきりと聞こえて、


「…夜更かしって、本当にゲームしてたの?本当は弟くんの面倒見てたんじゃなくて?」


と、この気持ちを悟られないように冷静を保って尋ねた。


「……」


途端に黙り込んだ日向君は数秒後、ん"ー、と肯定とも否定ともとれない声をあげる。


けれど、それがつまり肯定を意味する事くらい私にはバレバレだ。


だって、私達は週に何度も同じ時を共有しているのだから。


「偉いね。日向君、本当凄いよ」


心からの尊敬の言葉を伝えると、


「…誰にも言うなよ、先生にも黙っててな」


大きな溜め息と共に、彼は堪忍したようにそう吐き出した。
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