あなたが私を見つける日まで



日向君と私が出会ったのは去年の冬、3学期が始まった3日後の事だった。


諸事情によりゴールデンウィーク明けから教室に通えなくなっていた私は、毎日のように保健室で一日を過ごしていて。


正直学校に来るのも面倒だったしクラスメイトにも会いたくなかったけれど、家に引き篭る事は辛うじて残された私のプライドが許さなかったんだ。


だからあの日も、私は竹本先生と他愛もない話をしながらワークを解いていた。


その時、


『すいませーん、バスケしてたら突き指しちゃったぽいんすけどー、』


冬の寒さにも負けない程の明るい声が、私の鼓膜を震わせたんだ。


彼は3学期からこの高校に転入してきた1年生で、まだ学校の事も余り把握していないようだった。


だから、もちろん私の事も知らないわけで、


『あ、俺うるさかった?ごめんごめん、静かにするから』


と、まだ何も言っていないのに眉を下げながら謝る彼が太陽みたいに見えた事は、今でもはっきり記憶に残っている。



普通ならそれで私と日向君の関係は終わるはずが、事はそう上手く運ばなかった。


『あのー、バスケで今度は足捻ったんすけど!俺絶対バスケ向いてないっしょ』


『ねえせんせー、病院からこんなん貰ったんすけどなんて書けばいいっすか?』


突き指をした翌々日、更には次の週も。
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