厄介なイケメン、拾ってしまいました。
 その後、のろのろと帰り支度をして、ホテルを出た。
 今日は土曜日。駅前のカフェで遅すぎる朝ごはんをとり、帰宅。
 なんだかもやもやしたまま家事をこなした。

 指輪さえ。
 あの時、私が指輪さえ忘れなければ。
 いや、カクテルをこぼさなければ。

 誕生日。
 アラフォーの幕開け。
 それが私にとって最低なものになってしまったのは、言うまでもない。

 はあ、と今日何度目になるかも分からないため息をこぼしながら、スマホで近所のスーパーのチラシをチェックする。

「あ、お肉安い……」

 夕方からのタイムセール。
 日も傾きかけている。

「よっし、でかけるか」

 私はお肉目指して家を出た。
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