厄介なイケメン、拾ってしまいました。
4 結局、拾わされました
蓮くんはなぜか今、我が家のソファにスエット姿でくつろいでいる。
仕方ない。お肉取られるの、嫌だったんだもん。
蓮くん、というのは彼の名前。
身元不明の大学生(自称)を泊めるのには抵抗があると言うと、彼はすんなり学生証と免許証と保険証を取り出したのだ。
東堂 蓮、21歳。
結構有名な大学。入学年度はストレート。
住所はここから電車で1時間半ってとこか。
大学、実家から通ってたんだ。
ってか、実家帰れよ。
そう思っていると、また彼は心の声を読んだのか、「帰れない事情がある」とだけ言った。
私も私で、ある程度の素性を明かした。
名前と年齢と、家の場所だけだけど。
「紗奈、うまそーな匂いする」
もうすでに呼び捨て。
最近の若い子って、みんなこうなの?
匂いと肉の焼ける音に釣られたか、蓮くんはキッチンを覗きに来た。
「もうすぐ焼けるよ、肉」
「さっすが、主婦。料理上手」
「おだてても何も出ません」
「その肉は……?」
「……私の。キミには白米を恵んであげるから」
私はかき氷のようにお茶碗いっぱいに白米を盛り付けた。
彼には、それだけ。
私は、お肉の和風ソテーとお浸しと味噌汁とご飯。うん、我ながらいいバランス。
「いただきます」
手を合わせて箸をにぎり、彼は白米を掻き込んだ。すごい速さで。
「ねえ、白米だけだよ?」
「ん。でも、その匂いだけであと3杯食える」
どんだけ食べる気?
……そうか、彼、食べざかりの大学生だった。
余裕を持って2合炊いたはずの炊飯器は、夕飯のうちにからっぽになってしまったのだった。
仕方ない。お肉取られるの、嫌だったんだもん。
蓮くん、というのは彼の名前。
身元不明の大学生(自称)を泊めるのには抵抗があると言うと、彼はすんなり学生証と免許証と保険証を取り出したのだ。
東堂 蓮、21歳。
結構有名な大学。入学年度はストレート。
住所はここから電車で1時間半ってとこか。
大学、実家から通ってたんだ。
ってか、実家帰れよ。
そう思っていると、また彼は心の声を読んだのか、「帰れない事情がある」とだけ言った。
私も私で、ある程度の素性を明かした。
名前と年齢と、家の場所だけだけど。
「紗奈、うまそーな匂いする」
もうすでに呼び捨て。
最近の若い子って、みんなこうなの?
匂いと肉の焼ける音に釣られたか、蓮くんはキッチンを覗きに来た。
「もうすぐ焼けるよ、肉」
「さっすが、主婦。料理上手」
「おだてても何も出ません」
「その肉は……?」
「……私の。キミには白米を恵んであげるから」
私はかき氷のようにお茶碗いっぱいに白米を盛り付けた。
彼には、それだけ。
私は、お肉の和風ソテーとお浸しと味噌汁とご飯。うん、我ながらいいバランス。
「いただきます」
手を合わせて箸をにぎり、彼は白米を掻き込んだ。すごい速さで。
「ねえ、白米だけだよ?」
「ん。でも、その匂いだけであと3杯食える」
どんだけ食べる気?
……そうか、彼、食べざかりの大学生だった。
余裕を持って2合炊いたはずの炊飯器は、夕飯のうちにからっぽになってしまったのだった。