厄介なイケメン、拾ってしまいました。
「紗奈、そーいえば、旦那サンいつ帰ってくんの?」
ソファでくつろいだまま、彼が尋ねる。私は冷蔵庫から冷えたビールを取り出して、そのままキッチンに立って飲んだ。
彼にソファを取られてしまったから、仕方ない。
「一週間後」
それだけ返して、またビールに口をつける。「俺にもちょうだい?」と言われたけれど、「キミの分はなし」と言うと、大人しく引き下がってくれた。
そして、しばらくの思案ののち、彼はこちらに向かって口角をニヤリと上げた。
「じゃあ、俺は一週間はここにいれるってわけだ」
「はぁ? 何でそうなるの?」
「だって、多分、そうなる」
彼は自信満々に言った。
「紗奈は俺のことを放って置けないから。多分」
「なっ!……そんなことっ!」
「ない、って言える?」
挑発するような眼差し。
私は――
「お人好しだよね。どこの誰かも分からない、俺のこと、心配しちゃうなんてさ。紗奈は、多分優等生。悪いことはできないし、情に訴えかけられたら負けちゃう。もっと自分の好きに生きればいいのに」
核心を突くような言葉に、見下したような笑い。
違う。
私だって――好きに、させてもらう。
キミの好きには、させない。
「本当にただのお人好しだと思う?」
「うん、俺のこと、心配でしょ? 知ってるよ。母性本能、くすぐるんでしょ?」
「キミは何も分かってない」
私の中に巻き上がる、黒い感情。
いいよね? 好きにしても。
「キミがイケメンだからだよ。にくいくらいに、私の目を引く。最初だって、捨てられたワンコみたいな目でこっち見てた」
そう。
私が彼を見てたのは、イケメンだから。
それ以上でも、それ以下でもない。
目を引く、イケメン。ただ、それだけ。
「俺は人間だけどね」
彼はケラケラ笑う。
まだ何も、分かってないから。
「私にとっては、キミはワンコ。今日から一週間キミは私のペット、ね。飼ってあげるよ」
「え?」
「それでキミも困らない。どう?」
蓮くんはニヤリと笑った。
「いいよ」
そして、続けた。
「じゃあ、ご主人さまにご奉仕しなきゃね」
ソファでくつろいだまま、彼が尋ねる。私は冷蔵庫から冷えたビールを取り出して、そのままキッチンに立って飲んだ。
彼にソファを取られてしまったから、仕方ない。
「一週間後」
それだけ返して、またビールに口をつける。「俺にもちょうだい?」と言われたけれど、「キミの分はなし」と言うと、大人しく引き下がってくれた。
そして、しばらくの思案ののち、彼はこちらに向かって口角をニヤリと上げた。
「じゃあ、俺は一週間はここにいれるってわけだ」
「はぁ? 何でそうなるの?」
「だって、多分、そうなる」
彼は自信満々に言った。
「紗奈は俺のことを放って置けないから。多分」
「なっ!……そんなことっ!」
「ない、って言える?」
挑発するような眼差し。
私は――
「お人好しだよね。どこの誰かも分からない、俺のこと、心配しちゃうなんてさ。紗奈は、多分優等生。悪いことはできないし、情に訴えかけられたら負けちゃう。もっと自分の好きに生きればいいのに」
核心を突くような言葉に、見下したような笑い。
違う。
私だって――好きに、させてもらう。
キミの好きには、させない。
「本当にただのお人好しだと思う?」
「うん、俺のこと、心配でしょ? 知ってるよ。母性本能、くすぐるんでしょ?」
「キミは何も分かってない」
私の中に巻き上がる、黒い感情。
いいよね? 好きにしても。
「キミがイケメンだからだよ。にくいくらいに、私の目を引く。最初だって、捨てられたワンコみたいな目でこっち見てた」
そう。
私が彼を見てたのは、イケメンだから。
それ以上でも、それ以下でもない。
目を引く、イケメン。ただ、それだけ。
「俺は人間だけどね」
彼はケラケラ笑う。
まだ何も、分かってないから。
「私にとっては、キミはワンコ。今日から一週間キミは私のペット、ね。飼ってあげるよ」
「え?」
「それでキミも困らない。どう?」
蓮くんはニヤリと笑った。
「いいよ」
そして、続けた。
「じゃあ、ご主人さまにご奉仕しなきゃね」