厄介なイケメン、拾ってしまいました。
「ごめん。蓮くんの方が、よっぽどまともだね」

 彼は、ただ自分に正直に生きてるんだ。
 私の価値観を押し付けたって、何の意味もない。
 だって、私と蓮くんは、生まれた場所も、時代も、環境も、違う。
 それなのに、世間一般的な意見を無理やり押し付けられて……消化できなくて、戸惑ってるんだ。

 私は、ただ枠にはまろうとしていただけ。
 それなりの、人生を歩もうとしてただけ。

 でもね、
 蓮くんの生き方の方が、よっぽど楽しそう。

「好きに生きなよ。蓮くんの人生なんだからさ」
「何それ。同情は、いらない」
「同情じゃないよ。ただ、蓮くんと私は、違う人間なんだって、思っただけ」
「ふーん」

 蓮くんは怒ったように言ったけど、どこか嬉しそうだった。だから、思わず私もにやけてしまう。

「ねえ、鍋。へーき?」
「え?」

 言われて振り返れば、ぐつぐつしすぎてボテボテになった野菜たち。

「ああ……っ!」

 蓮くんはケラケラ笑った。

「だいじょーぶ、俺が全部食うから」
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