厄介なイケメン、拾ってしまいました。
 駅前。ビジネスホテル、本日満室。

「あーりゃりゃ」

 それでも、なぜか楽しそうな彼にイライラする。

「泊まるとこ確保しないと、指輪返さないからね〜」

 ヘラヘラ笑って、手の中の指輪を私にちらつかせる彼。
 ふざけんな、返せ。

「ねえ、オネーサン」
「何?」

 睨みながら返すと、彼は駅の反対側を指差した。

「ホテル、まだあるよ? あそこ」

 ぎょっとした。
 あれって……

 ラブホ。

 しかも、ご丁寧に『空室』の文字が看板に堂々と表示されている。

「あそこ、行こー!」

 彼はさっさと歩き始める。

 まさか本当にラブホ行くの!?

 私は慌てて彼……もとい、指輪の後をまた追いかけた。
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