厄介なイケメン、拾ってしまいました。
「そ、添い寝?」
「そ。添い寝」

 この子はなんて突拍子もないことを言うのだろう。
 しかもさらっと。

「昔、ソフレとか、してたし」

 ソフレ?
 なにそれ?

 キョトンとしていると、彼はにこやかに微笑む。

「知らない? 添い寝フレンド、略してソフレ。ま、今はもうしてないけど」
「初めて聞いた」
「ふーん。ただ添い寝するだけの、添い寝屋さんってとこかな。希望があれば、手繋いだり、ぎゅっとしたり。でも、性的な関わりは一切なし。俺、けっこう安眠効果あるよ?」

 まったくもって、信用ならん。

「何もしないって。俺は宿が見つかって万々歳だからさ。お礼に、極上の睡眠をプレゼント」
「何それ……」

 呆れた。
 指輪で脅して、宿を死守するために部屋に連行して、挙句の果てに添い寝とか言って変なことする気でしょ?
 しかもそれを、堂々と宣言するとか。

「……俺さ、オネーサンには結構強引なことしちゃったなって思ってる。反省。だから、お礼させて。俺には、これくらいしかできないから」

 彼は眉を下げて笑う。
 それから立ち上がって、私に右手を差し出した。

「ほら、おいでよ」

 様になる。
 王子様みたい。
 だけどさ、私はそんなのには――

「無理。ここで寝る」

 私はそのままソファに横になった。
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