不倫の女

 キスをしたら、手紙を書いてこの場を去ろう。
 
 それとも、起こしてきちんと伝えようか。

 ずっと迷っている。

 あと一回髪に触れたらと思っているのに、何度も何度繰り返している。

 彼がもぞもぞと動き出す。

 夢の中で楽しそうに笑う彼の寝言を聞いて、私は揺らいでいた決心が固まる。

 彼の中には、大事な大切な家族がいるのだ。

 彼を起こして別れを告げる。

 もう終わりにしましょう。と一言だけ告げた。
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