わけあり家令の恋
好みもわからず、まして顔や背格好も知らない相手のために、何かを選ぶのは難しいものだ。
それでも私は思案のあげく、少しグレーがかった水色の毛糸を買った。
軽いし、きれいな色だから冬の町でも映えそうだと思ったのだ。
それから私たちはひと休みするため、最近人気だというカフェに入った。
店内は窓が大きく、天井も高くて、真っ白なクロスがかけられたテーブルがいくつも並んでいる。
ステンドグラス製の照明やテラコッタの床もしゃれていて、まるでどこか外国にいるようだった。
「奥様、わ、わたくしはけっこうでございますから」
その雰囲気に臆したのか、はじめのうち幸は恐縮しきって外で待つと言い張った。
「心配しなくていいから、中に入ろう。幸だって疲れただろう?」
杉崎がそんなふうに説き伏せてくれたが、彼女の気持ちもわかる気がした。
こんな店に入るのはずいぶん久しぶりで、実は私も少し緊張していたのだから。
何を頼めばいいかもわからなかったが、杉崎がそばにいてくれると、とても安心できた。
だから私は彼や幸と同じテーブルにつくことにした。
こんな姿を見たら、両親は眉をひそめて嘆くかもしれない。
けれどももう私は子爵令嬢ではないし、たとえ使用人であっても、今は彼らと一緒に過ごしたかったのだ。
それでも私は思案のあげく、少しグレーがかった水色の毛糸を買った。
軽いし、きれいな色だから冬の町でも映えそうだと思ったのだ。
それから私たちはひと休みするため、最近人気だというカフェに入った。
店内は窓が大きく、天井も高くて、真っ白なクロスがかけられたテーブルがいくつも並んでいる。
ステンドグラス製の照明やテラコッタの床もしゃれていて、まるでどこか外国にいるようだった。
「奥様、わ、わたくしはけっこうでございますから」
その雰囲気に臆したのか、はじめのうち幸は恐縮しきって外で待つと言い張った。
「心配しなくていいから、中に入ろう。幸だって疲れただろう?」
杉崎がそんなふうに説き伏せてくれたが、彼女の気持ちもわかる気がした。
こんな店に入るのはずいぶん久しぶりで、実は私も少し緊張していたのだから。
何を頼めばいいかもわからなかったが、杉崎がそばにいてくれると、とても安心できた。
だから私は彼や幸と同じテーブルにつくことにした。
こんな姿を見たら、両親は眉をひそめて嘆くかもしれない。
けれどももう私は子爵令嬢ではないし、たとえ使用人であっても、今は彼らと一緒に過ごしたかったのだ。