あなたには帰る場所がある。だから、愛しているとは言えない。




 アイザックに妻がいると聞かされた時の衝撃は計り知れなかった。

 もう、身体の関係になるのは止めにしよう。

 そう思っていたのに――再び求められると断れず、また彼と身体を重ねてしまった。
 そうして、ズルズルと関係は続いてしまった。
 彼自身には怖くて妻の話は聞けずにいる。

「ミリー、次の任務の後、休日が重なっているだろう? 会いにくるから……」

 一斉稽古の後、こっそり耳打ちされると、彼が自分の元に来るのだと分かって、まるで少女のように心が躍ってしまうのだった。



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