細胞が叫ぶほどの恋を貴方と
順調、だと思う。
気を遣い過ぎることもなく、自然に過ごせていると思う。
末永さんは薬が効かず半ば諦めかけていたほどのEDだったとは思えないほど元気で、近頃はよく無邪気に笑う。
整った顔立ちで、生活感がないくらい清潔な印象の美青年が、ふとした会話の最中に、口を大きく開けて、目に涙を溜め、お腹を抱えて笑い出す様子は可愛らしく、五つも年上だというのに撫でまわしたくなる。
実際に撫でまわしたら、脇腹をくすぐられて大変だったので、衝動は抑えることにした。
2LDKのとてもさっぱりとした、必要以上に物を置かないタイプなのかと思った部屋には、ホームプロジェクターと空気清浄機が導入され、キッチン用品や食器類も充実した。
ベッドと本棚くらいしかなかった寝室にはわたし用の枕が追加され、クロゼットにはわたし用のシャツや下着が収納されている。
それが全て、わたしとこの部屋で快適に過ごすためだと言うから申し訳ない。
「急に物が増えて、末永さんは暮らしにくくありませんか?」と問うと、彼は穏やかに微笑み、包み込むようにわたしを抱き締め、頭頂部に頬擦りしながら可愛がり「心配いらないよ」と答えた。
「と、言いますと?」
「何年か前まで同居人がいたんだけど、引っ越したからその分の荷物が減って、そのままになっていただけなんだ」
そういうことなら心配ない。けれど「なんならもっと駅の近くで、泉さんのマンションの近くに引っ越そうかと思ってる」という申し出は保留にした。