片翼を君にあげる③

瞬空(シュンクウ)との下剋上の再戦日と内容が決まりました。
日程は三日後。勝負内容は、瞬空(シュンクウ)がミライに挑む下剋上で、どちらに軍配が上がるか……。それを、ツバサ。君に当ててもらいます」

「ーー……え?」

部屋に呼び出され、最高責任者(マスター)の口から瞬空(シュンクウ)さんとの下剋上再戦を告げられて緊張していたのに……。その勝負内容を聞いた俺の心臓はシンッと鎮まった。

瞬空(シュンクウ)さんとミライさんが、下剋上ーー?

俺が白金バッジを手にする為の下剋上の内容よりも、あの二人が下剋上をする、と言う事が俺には信じられなかった。

一体何故、そんな事に?

白金バッジ同士の夢の配達人が争って、下剋上をするなど今まで聞いた事はない。
何故そんな経緯になったのか分からないし、瞬空(シュンクウ)さんとミライさんは互いに得意な仕事の分野が違って、仕事を取り合う必要も、ライバル関係にあると言う認識も俺にはなかったからだ。

「ツバサ?聞いていましたか?」

「!っ……は、はい」

「では、そのように。
事前に君の予想を聞いて情報が漏れるのを避ける為、予想は当日。その場で誰にも見られないよう、こちらが用意した紙に記載してもらいます」

「……分かりました」

最高責任者(マスター)の言葉に、俺はそう答えるしかなかった。

腑に落ちない点もある。
しかし、下剋上の内容としては、素直に言えば俺と瞬空(シュンクウ)さんが前回同様の勝負をするよりも、白金バッジを手に出来る可能性が高い事は事実であろう。
第一、今回の下剋上は勝負内容を瞬空さん(相手)が決める、と言う決定事項がある以上、俺が一方的に異論しても変わる事はない。

運の強さも、勝負のうちーー。

そう思って、俺はこの下剋上に挑むしかないんだ。


そんな風に気持ちを切り替えて……。
俺は、下剋上の当日を迎える事となった。

……
…………。
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