片翼を君にあげる③

「……ラン、見ててくれよ。約束、絶対に守るから」

左腕に着けている、ランがクリスマスにくれたターゴイズとアマゾナイトで造られたブレスレット。目標を達成したり、夢を叶えたい人へのサポートをしてくれる石。
ランもきっと力を貸してくれると思った。

ミライさんとの下剋上に勝って。
白金バッジを手にして。
俺はレノアを幸せに……。

いや、みんなで幸せになるんだ。
そして必ず、ランの墓に一緒に行く。
悲しいままの想い出になんて、絶対にするもんかーー……。


明るい未来は、すぐそこまで来ていると思った。
ランが亡くなった時、これ以上に辛く悲しい事が起こる事なんて……想像、したくなかった。

けど、俺はきっと、まだ逃げていたんだ。
俺達の運命を握る、天使(あいつ)の存在から……、……。


ーー……ピコーン!と、俺のポケ電が鳴った。
ポケットから取り出すと、着信相手はレノアの育ての父親であるヴィンセント様。

「はい、ツバサです。どうかしましたか?
……、……。ーー……っ。
……、…………え……?…………」

電話に出た俺は、ヴィンセント様の言葉を聴いて頭の中は真っ白になり……。

目の前は暗くなっていった。

……
…………その頃、全国にも報道が流れた。

【ドルゴア王国のサリウス王子とアッシュトゥーナ家のご令嬢レノアーノ様!下剋上の結果を待たずして婚約破棄!!
その真相はーー……】

……
…………

『レノアーノに、病気が見付かった。
医師の話ではっ……今の医療では治す事が難しい、不治の病らしい……ッ』

辛そうに伝えてくれるヴィンセント様に何か言葉を返したいのに、俺は暫く、ポケ電を耳に当てたまま立ち尽くすだけだった。

ーー天使の血を持つ者は、
真に愛する者とは結ばれないーー。

その運命との最後の戦いが、始まった。

……
……………。

【片翼を君にあげる③-終わり-】

※次巻!いよいよ最終巻です!
すでに本日2024年12月13日より4巻公開しております(^^)
よろしければ、このまま4巻へもお立ち寄り下さいm(_ _)m
< 170 / 171 >

この作品をシェア

pagetop