片翼を君にあげる③
「……ラン、見ててくれよ。約束、絶対に守るから」
左腕に着けている、ランがクリスマスにくれたターゴイズとアマゾナイトで造られたブレスレット。目標を達成したり、夢を叶えたい人へのサポートをしてくれる石。
ランもきっと力を貸してくれると思った。
ミライさんとの下剋上に勝って。
白金バッジを手にして。
俺はレノアを幸せに……。
いや、みんなで幸せになるんだ。
そして必ず、ランの墓に一緒に行く。
悲しいままの想い出になんて、絶対にするもんかーー……。
明るい未来は、すぐそこまで来ていると思った。
ランが亡くなった時、これ以上に辛く悲しい事が起こる事なんて……想像、したくなかった。
けど、俺はきっと、まだ逃げていたんだ。
俺達の運命を握る、天使の存在から……、……。
ーー……ピコーン!と、俺のポケ電が鳴った。
ポケットから取り出すと、着信相手はレノアの育ての父親であるヴィンセント様。
「はい、ツバサです。どうかしましたか?
……、……。ーー……っ。
……、…………え……?…………」
電話に出た俺は、ヴィンセント様の言葉を聴いて頭の中は真っ白になり……。
目の前は暗くなっていった。
……
…………その頃、全国にも報道が流れた。
【ドルゴア王国のサリウス王子とアッシュトゥーナ家のご令嬢レノアーノ様!下剋上の結果を待たずして婚約破棄!!
その真相はーー……】
……
…………
『レノアーノに、病気が見付かった。
医師の話ではっ……今の医療では治す事が難しい、不治の病らしい……ッ』
辛そうに伝えてくれるヴィンセント様に何か言葉を返したいのに、俺は暫く、ポケ電を耳に当てたまま立ち尽くすだけだった。
ーー天使の血を持つ者は、
真に愛する者とは結ばれないーー。
その運命との最後の戦いが、始まった。
……
……………。
【片翼を君にあげる③-終わり-】
※次巻!いよいよ最終巻です!
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