片翼を君にあげる③
ーー……カッ、ツーン!
「……。いけないいけない」
ポケットにしまおうとしたポケ電が、手をスルリと抜け落ちて床に転がった。
身を屈ませ右手で拾おうとする。が、その右手がポケ電を掴める事はなかった。
「……もう少し、保ってもらわなきゃ困るな」
言う事をきかない右手をポケットにしまって、左手でポケ電を拾うと僕は再び歩き出した。
夢が叶うその瞬間が来るまで、僕は最高位で在り続けなきゃならないんだーー。
……
…………。