片翼を君にあげる③
***

12月23日ーー。
僕達幼馴染み4人が集まる前日。

「う〜!やっとお休みだぁ〜!!」

「研修予定詰め込まれてて、ここ暫くずっと半休とかだったもんね……」

研修帰り、港街にあるショッピングモールに辿り着いた僕と姉さんはクタクタだった。フードコートの席を確保すると、とりあえず飲み物を買って一息。
夢の配達人調査員になるべく研修生の毎日は厳しい。最初の一年は特に色々な事を学ぶ為、予定はみっちりだ。
休日とは言っても名ばかりな日も多く、課題をやらなくてはいけなかったりで……。
そんな訳で、今からと明日は本当に久々の休日!

『せっかくだから昔みたいに、プレゼント交換やろ〜!』

と、僕達のメールグループのやり取りで決まった事から、このショッピングモールにそのプレゼントを買い物に来たのだ。……しかし。

「プレゼント、何にするかライはもう決めた?」

「いや、全然。
誰に当たってもいいように、ってなかなか難しいよね」

男二人、女二人。その中で行うプレゼント交換。
子供の頃ならおもちゃだったり、文房具だったりで良かったが……。この歳になると、なかなか難しい。
一応、これ位の金額の物、ってみんなで決めたけど、すごーくすごーく悩む。ガチの物を買うか、笑いが取れる物を買うか……。
でも、後者を買ってレノアに当たった時の反応が予想出来なくて怖いから、まあガチの物だよな。

「……レノア、って僕達が選んだ物で喜ぶのかなぁ?」

思わず苦笑いを溢して呟いた。
僕達の世界で、知らない人がいない程の名家の娘であるレノア。
そんな彼女が手に入れられない物なんて、僕達のお小遣いで買える物では絶対にないであろう。
でも、そう質問した僕に姉さんは言った。
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