片翼を君にあげる③
けど、特に事前に何にするか決めていなかった私は宛もなくショッピングモール内を彷徨っていた。
誰に当たっても良くて、出来ればみんなが喜んでくれるものーー……。
そう思った時。私はふと、自分が身に着けていた"ある物"に目を止めた。そして、ピンッときた。
!……これだ!これしかない!!
すると、これまで悩んでいたのが嘘のように私の心は決まった。
案内板でお店の場所を確認すると、私はそのプレゼントがある所へ向かって走り出した。
……
…………。
そして、暫くして……。
「ありがとうございました〜!」と頭を下げる店員さんに見送られて店を出ると、私はリュックサックにプレゼントをしまい、ポケ電をすぐに確認する。
あちゃ〜。
やっぱり、そうだよね……。
予感的中で苦笑い。
メール3件、着信5回。全てライからだ。
プレゼントを買うまでに少々時間がかかり、別行動をしてから間もなく2時間が経過。ライはすでにプレゼントを買い終えて待っているのだろう。
すっかり待たせちゃったなぁ。
えっと……。『お待たせ〜、今私も買い終わったよ!何処にいる〜?』
ついついポケ電を確認せず放置して、プレゼントの事に集中してしまっていた。
申し訳ない気持ちでライにメールを打ち、とりあえず返事が来たらすぐに移動出来るように階段の方へ移動する。
我ながら、良いプレゼントが用意出来たなぁ〜。
予定よりも予算も選ぶ時間もかかったが、大満足のプレゼントが用意出来て、私の心はホクホクだった。
明日が楽しみで、きっと今年の中で1番楽しい日になる筈だった。
……けど。
この時、すでに私達の絆を壊そうとする魔の手が忍び寄って来ていた。