片翼を君にあげる③

……さて。
検査の時間までどうするかな〜……ん?

出かける準備はすでに済ませているし、どう時間を潰そうか?と、俺が思った直後だった。ポケ電が「ピコンッ」と鳴り、ポケットから取り出して見ると、レノア、ラン、ライとのグループメールにメッセージが届いていた。

レノア
『ジャナフ君体調大丈夫?
また検査の結果が分かったら教えてね』

ライ
『了解!姉さんと先に向かうな〜。
ツバサは体調大丈夫なのか?また報告待つ!』

その、どちらも俺やジャナフを気遣ってくれている暖かい文面に心が暖まる。

ツバサ
『ああ。今ジャナフは寝てて、俺は体調に違和感ないよ。
検査が終わったらまた連絡する』

そう返信してから、このメールグループをランが作ってくれてからの今までのやり取りの文面を見返して、俺はまた幸せの笑みを浮かべた。
何年も離れてしまって、一時期はもう四人では集まれない、と思っていた俺達にとって、こうしてやり取りが出来る今は奇跡のような幸せだった。

そう思うと同時に、このメールグループを作ってくれて、四人を再び結ぶキッカケを作ってくれたランに俺は心から感謝していた。
同じ歳なのに、彼女にはいつも助けられて、支えられて、俺は生きてきた。姉のようであり、大切な身内で、家族で、親友で仲間。
きっと俺達の中で中心と言えばランで、彼女が率先して動いてくれていたんだ。

……それなのに。
俺は、この時まだ気付けずにいた。

いつもなら、俺のメッセージにいち早く気付いて返信をくれるランが、この日は何も送って来ないという事に……、……。

ーーコンコンッ!

「!……はい?」

「ツバサ君、ジャナフ君。
お待たせしてごめんなさいね?検査の準備が出来たから入ってもいいかしら?」

「あ、はい。よろしくお願いします」

部屋の扉がノックされ、声を掛けてくれたのは検査の為に部屋を訪れてくれたホノカさん。俺はポケ電をテーブルの上に置くと、扉を開けてホノカさんを部屋に入れた。

その間も、ランがメッセージを送って来る事は……なかった。

……
…………。
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