片翼を君にあげる③
ランはレノアを恨んでなどいなければ、俺とレノアが結ばれる事を誰よりも願ってくれていたーー……。
誰よりも健気で、そして一途で純粋な心の持ち主だったラン。
そんな彼女と、あんな形で迎えた突然の別れを……俺は受け入れられなかった。
そして、そんなランを想えば想うほど堪らなく思う。
俺は、ランにそんな風に想ってもらえるような存在じゃない、って……。
俺が恐れずに、躊躇わずに……。もっと早く天使の能力を手に入れていたなら、きっと何とかなった筈なんだ。
俺は臆病者だ。
白金バッジの夢の配達人になる、って宣言しておきながら、結局は自分が1番可愛くて……。
そんな自分が、人に夢を与える夢の配達人に本当になれるのかーー?
目尻から静かに、一筋の涙が溢れる。
どんなに悔やんでも、泣いても、もう過去を変える事なんて出来ないのに……。
俺がいなくなった方が、よかったんじゃないかーー……?
そう思わずには、いられなかった。
……
…………
……………数日後。
そんな状態のまま、俺はミヅクさんとの下剋上を迎える事となる。