*結ばれない手* ―夏―
[34]メカとムク
翌朝は快晴だった。
引き締められた心を添えて車に乗り込む。
先日と同様運転手は暮、モモは助手席、秀成は後部座席。
昨日と同様集まってくれた団員達の見送りに、三人は力強く手を振った。
後方へ去りゆく淡い景色は、杏奈と共に向かった時とは違って見えた。
顔色を窺い、おどおどしていた自分。
今はそんな弱々しさなどまったくの不要だ。
秀成は向かう道中も、イヤホンから桜家の様子を耳に入れようと集中した。
途中で家政婦の見送る声が聞こえ、発信器の行方も確かに桜邸を離れてゆく。
おそらく本社ビルの一室で話し合いは持たれるのだろうと推測された。
そうなると桜社長、もしくは凪徒へのアポイントがない三人には、受付を難なく通過する方法がないな、と暮は表情を曇らせた。
そこで役立つメカオタクの秀成が、自信満々な様子で鞄から取り出して見せた物とは──?
引き締められた心を添えて車に乗り込む。
先日と同様運転手は暮、モモは助手席、秀成は後部座席。
昨日と同様集まってくれた団員達の見送りに、三人は力強く手を振った。
後方へ去りゆく淡い景色は、杏奈と共に向かった時とは違って見えた。
顔色を窺い、おどおどしていた自分。
今はそんな弱々しさなどまったくの不要だ。
秀成は向かう道中も、イヤホンから桜家の様子を耳に入れようと集中した。
途中で家政婦の見送る声が聞こえ、発信器の行方も確かに桜邸を離れてゆく。
おそらく本社ビルの一室で話し合いは持たれるのだろうと推測された。
そうなると桜社長、もしくは凪徒へのアポイントがない三人には、受付を難なく通過する方法がないな、と暮は表情を曇らせた。
そこで役立つメカオタクの秀成が、自信満々な様子で鞄から取り出して見せた物とは──?