*結ばれない手* ―夏―
[35]再会と協力
「……ですから、アポイントがございませんと、お通しする訳には──」
ビル一階の受付にて。
綺麗めの受付嬢二人とモモ達三人の押し問答が、案の定長いこと続けられていた。
「お願いします! 社長さんの息子さんは私達の知り合いで、今お二人と三ツ矢家のお嬢さんが話し合っていることにも関係があるんです!!」
モモはカウンターにしがみついて必死に訴えかけたが、
「本当に申し訳ございません。重要な会議の最中ですので、どなたもお通し出来ないのです」
受付嬢も困ったように同じ台詞を繰り返した。
「モモ、ここは一旦引こう」
秀成が背後からモモの肩に手を置いた。
少女の振り向いた先に映ったのは、車中と同じ自信に満ちたニヤケ顔。
ということは、おそらく煙幕ボヤ作戦を遂行しようとの合図だ。
──い、いや……それは後で警察に捕まりかねないのでは……?
こんな大きな企業で放火未遂と勘違いされたら、テロリストと誤解されても仕方がない。
モモは依然カウンターに身体を向けたまま、顔だけは後ろの秀成にブルブルと横振りをし、拒絶の姿勢を見せ続けた。
ビル一階の受付にて。
綺麗めの受付嬢二人とモモ達三人の押し問答が、案の定長いこと続けられていた。
「お願いします! 社長さんの息子さんは私達の知り合いで、今お二人と三ツ矢家のお嬢さんが話し合っていることにも関係があるんです!!」
モモはカウンターにしがみついて必死に訴えかけたが、
「本当に申し訳ございません。重要な会議の最中ですので、どなたもお通し出来ないのです」
受付嬢も困ったように同じ台詞を繰り返した。
「モモ、ここは一旦引こう」
秀成が背後からモモの肩に手を置いた。
少女の振り向いた先に映ったのは、車中と同じ自信に満ちたニヤケ顔。
ということは、おそらく煙幕ボヤ作戦を遂行しようとの合図だ。
──い、いや……それは後で警察に捕まりかねないのでは……?
こんな大きな企業で放火未遂と勘違いされたら、テロリストと誤解されても仕方がない。
モモは依然カウンターに身体を向けたまま、顔だけは後ろの秀成にブルブルと横振りをし、拒絶の姿勢を見せ続けた。