*結ばれない手* ―夏―
「杏奈さん、感謝しています。自分の将来を考えさせてくださったのは杏奈さんです」
「そんなこと……」
深く一礼をしたモモに、杏奈はそれでも嬉しそうに言葉を投げた。
そして次に、
「モモ」
姿勢を戻したモモに声をかけたのは凪徒だった。
「杏奈が何に誘ったのかは知らないが、断りに来たんだったらもう用は済んだな? だったら早く帰れ。ここはお前の来る所じゃない」
「そして先輩のいる場所でもないです」
──!?
杏奈が初めて現れた時と同様のやり取りがモモの口から現れて、凪徒は一瞬言葉すら出ないほど驚いた。
「先輩……帰ってきてください。サーカスへ……自分の居場所へ!」
モモはソファの手前まで進んで、凪徒に向けて手を差し伸べた。
広げられた掌の先の真剣な表情に凪徒は身動き出来なくなる。
「そんなこと……」
深く一礼をしたモモに、杏奈はそれでも嬉しそうに言葉を投げた。
そして次に、
「モモ」
姿勢を戻したモモに声をかけたのは凪徒だった。
「杏奈が何に誘ったのかは知らないが、断りに来たんだったらもう用は済んだな? だったら早く帰れ。ここはお前の来る所じゃない」
「そして先輩のいる場所でもないです」
──!?
杏奈が初めて現れた時と同様のやり取りがモモの口から現れて、凪徒は一瞬言葉すら出ないほど驚いた。
「先輩……帰ってきてください。サーカスへ……自分の居場所へ!」
モモはソファの手前まで進んで、凪徒に向けて手を差し伸べた。
広げられた掌の先の真剣な表情に凪徒は身動き出来なくなる。