*結ばれない手* ―夏―
「ああ……いいえ。そんなまどろっこしいことなんてしないわ。味方につけるなら、団長辺りを狙うわね。ナギをクビにしてもらう方が、ずっと手っ取り早いもの。それに協力してって言っても、貴女にそれを受け入れる理由がないでしょ?」
「ああ……はい……」
凪徒のいないサーカスなんて全く想像出来ない。
「彼が自分から戻ってきたいと思わないと意味がないのよ。それには……ま、その話はまたにしましょ。ここの息子だって分かっただけでも随分なショックでしょうし、公演に響いても困るから、話は順々にしていくわ」
──これまででももう十分響きそうだ……。
それでも話が終わったことで、モモはやっとオレンジジュースに手を付ける気になった。
微かに震える手でグラスを持ち上げ、ストローを唇に当てる。
それを見た杏奈も満足そうに、ハーブティーのカップを口元に寄せた。
二、三口の後、モモはふと頭に浮かんだ質問をした。
「ああ……はい……」
凪徒のいないサーカスなんて全く想像出来ない。
「彼が自分から戻ってきたいと思わないと意味がないのよ。それには……ま、その話はまたにしましょ。ここの息子だって分かっただけでも随分なショックでしょうし、公演に響いても困るから、話は順々にしていくわ」
──これまででももう十分響きそうだ……。
それでも話が終わったことで、モモはやっとオレンジジュースに手を付ける気になった。
微かに震える手でグラスを持ち上げ、ストローを唇に当てる。
それを見た杏奈も満足そうに、ハーブティーのカップを口元に寄せた。
二、三口の後、モモはふと頭に浮かんだ質問をした。