*結ばれない手* ―夏―
「昨日訪ねてきた美人が絡んでるのか何だか知らんが、お前達いつもと違うよな? それでもモモはあれだけの舞を見せた。それってお前のためだったんじゃないか? 一生懸命やったモモの想いをお前が全て無にしたんだ……少しは反省しろっ」
暮は「言いたいことは全て言ってやった」という雰囲気で大きく息を吐き出し、咄嗟に背を向けた。
胸から込み上げてくる沸々とした気持ちのやりどころが見つからず、つい肩を上下させて大袈裟に呼吸する。
後ろで立ち尽くすばかりの凪徒は何も言わなかった。
自分ですら気付かなかったタイミングの事実に、衝撃を受けずにはいられなかった。
「あの……凪徒さん?」
そのまた後ろから遠慮がちな呼びかけが聞こえた。
音響照明係の秀成だ。
「団長が呼んでます……団長室に行ってもらえますか?」
「……あ……ああ」
だるそうに振り返った凪徒は小さく頷きを零して、少し背を丸めて歩き出した。
それを見送る暮は口元を苦々しく歪めたまま、足元の雑草を軽く蹴った──。
暮は「言いたいことは全て言ってやった」という雰囲気で大きく息を吐き出し、咄嗟に背を向けた。
胸から込み上げてくる沸々とした気持ちのやりどころが見つからず、つい肩を上下させて大袈裟に呼吸する。
後ろで立ち尽くすばかりの凪徒は何も言わなかった。
自分ですら気付かなかったタイミングの事実に、衝撃を受けずにはいられなかった。
「あの……凪徒さん?」
そのまた後ろから遠慮がちな呼びかけが聞こえた。
音響照明係の秀成だ。
「団長が呼んでます……団長室に行ってもらえますか?」
「……あ……ああ」
だるそうに振り返った凪徒は小さく頷きを零して、少し背を丸めて歩き出した。
それを見送る暮は口元を苦々しく歪めたまま、足元の雑草を軽く蹴った──。