*結ばれない手* ―夏―
[16]探索と告白
「おーやっと着いた着いた」
暮は降車し、一つ伸びをした。
「さて~凪徒とモモは……? もう先に行っちまったか」
眉毛の高さに手をかざし辺りを見回したが、あの背高ノッポと茶色い髪のコンビは見つからなかった。
「大丈夫です、暮さん。僕、凪徒さんの財布に発信器仕掛けておいたんで」
と、平然と凄いことを言ってのけた秀成が自分のスマホを覗き込み、リンと暮を連れて歩き出す。
「おい……何でお前が凪徒の財布にそんなもん付けてるんだよ」
暮は恐る恐る問い質した。
春の誘拐事件でハッキングまでした秀成のオタク振りは、凪徒から聞かされている。
暮もそんな秀成を敵には回したくないな、とは思っていたのだが、既に凪徒自身がそんなことになっているということは、敵と見なされてしまっているのか?
「んー、あんまり意図があってやったことではなくて、飽くまでも興味本位と言いますか。ちょうどいいモルモットが目の前に落ちていたと言いますか……」
──あいつの財布はこいつのモルモットなのか!?
秀成の視覚範囲に私物を放置するのはやめよう── 一つ学んだ暮は、心に留めるように胸に手を当てコソっと息を吐いた。
☆ ☆ ☆
暮は降車し、一つ伸びをした。
「さて~凪徒とモモは……? もう先に行っちまったか」
眉毛の高さに手をかざし辺りを見回したが、あの背高ノッポと茶色い髪のコンビは見つからなかった。
「大丈夫です、暮さん。僕、凪徒さんの財布に発信器仕掛けておいたんで」
と、平然と凄いことを言ってのけた秀成が自分のスマホを覗き込み、リンと暮を連れて歩き出す。
「おい……何でお前が凪徒の財布にそんなもん付けてるんだよ」
暮は恐る恐る問い質した。
春の誘拐事件でハッキングまでした秀成のオタク振りは、凪徒から聞かされている。
暮もそんな秀成を敵には回したくないな、とは思っていたのだが、既に凪徒自身がそんなことになっているということは、敵と見なされてしまっているのか?
「んー、あんまり意図があってやったことではなくて、飽くまでも興味本位と言いますか。ちょうどいいモルモットが目の前に落ちていたと言いますか……」
──あいつの財布はこいつのモルモットなのか!?
秀成の視覚範囲に私物を放置するのはやめよう── 一つ学んだ暮は、心に留めるように胸に手を当てコソっと息を吐いた。
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