お前を奪い返す〜俺様御曹司の独占欲が燃え上がる
頬に涙の跡があるのを見て、そっと拭ってくれた。
「まりか、どうしたんだ、何か悲しいことでもあるのか」
私は首を横に振って「ありません」と答える。
「それならなんで泣いているんだ、何か嫌なことがあるなら言ってくれ」
私はじっと神野さんを見つめた。
「私はいつまでここにいていいんですか」
「まりかがいたいだけいて構わない」
「ずっといていいですか」
「ずっといいよ」
神野さんは優しい人。
そんなに優しくしてくれると、錯覚しちゃいます、私を愛してくれているかもって。
神野さんは私の手を引き寄せ抱きしめてくれた。
私は自分の腕を神野さんの背中に回して、ギュッと抱きしめた。
このまま、ずっと時間が止まればいいのにと願っていた。
次の日、私は診察のため、リカ先生の元を訪れた。
「顔色いいわね、どこもなんともない?」
「はい」
すると、神野さんが口を挟んだ。
「おい、リカ、誰が面倒見てると思ってるんだ」
「はい、はい、神野社長」
お互いに見つめあって笑った。