お前を奪い返す〜俺様御曹司の独占欲が燃え上がる

頬に涙の跡があるのを見て、そっと拭ってくれた。

「まりか、どうしたんだ、何か悲しいことでもあるのか」

私は首を横に振って「ありません」と答える。

「それならなんで泣いているんだ、何か嫌なことがあるなら言ってくれ」

私はじっと神野さんを見つめた。

「私はいつまでここにいていいんですか」

「まりかがいたいだけいて構わない」

「ずっといていいですか」

「ずっといいよ」

神野さんは優しい人。

そんなに優しくしてくれると、錯覚しちゃいます、私を愛してくれているかもって。

神野さんは私の手を引き寄せ抱きしめてくれた。

私は自分の腕を神野さんの背中に回して、ギュッと抱きしめた。

このまま、ずっと時間が止まればいいのにと願っていた。

次の日、私は診察のため、リカ先生の元を訪れた。

「顔色いいわね、どこもなんともない?」

「はい」

すると、神野さんが口を挟んだ。

「おい、リカ、誰が面倒見てると思ってるんだ」

「はい、はい、神野社長」

お互いに見つめあって笑った。
< 34 / 70 >

この作品をシェア

pagetop