あきれるくらいありふれたこと
私は
啓吾を嫌いになった訳では無かった。
でも、許せる訳でも無い。
信頼も出来ない。
啓吾が一線を越える前に何とか出来たのではと今でも毎晩考える。
妊娠が分かり、悪阻が辛くて一人で家にいる間、食べて貰えない食事を休み休み作って何とか気持ちを上げようと頑張ったと思う。
話がしたくて話を振っても伊藤さんの話ばかりする啓吾。
休みの日はゆっくりして欲しいのに同棲中の婚約者がいるにも拘わらず仕事の事と言って連絡をして来た伊藤さん。
仕事と言えばアキさんも仕方ないと諦めていたのだろうか?
アキさんの言動も伊藤さんを愛してる事が伝わって来なかった。
アキさんも幼い頃から一緒にいるのが普通で惰性で一緒になろうとしていたのかも知れない。
何だかこのカップルに唯唯、振り回されたと感じてる。
子供の事を思うとくよくよ悩んでいてはいけないのは十分理解している、でも。
やはり、何か出来た事があったんでは?
まだ考えている。
啓吾には絶望し呆れている。
なんで、あの一歩を踏みとどまれなかったの?
そしてそれ以上に私自身に絶望している。
私達の関係、繋がりはこんなに脆い物だった。
誰よりも大切で愛しい人だったはず。
誰よりも離したく無い人だったはずなのに。