素敵な天使のいる夜にー4th storyー
沙奈をベッドに寝かせてから、氷枕を当て熱を測った。
「まだ高いな…」
「大翔…先生…」
沙奈の眠りを見守っていると、沙奈はゆっくり身体を起こした。
「まだ、身体が熱いから今日はゆっくり休んで。」
「大翔先生…。ごめんね。」
「どうして沙奈が謝ってるんだ?」
「…私、また体調が悪いのに自分に大丈夫って言い聞かせて大翔先生に連絡出来なかった…」
「沙奈…」
熱で潤んでいる沙奈の寂しい瞳。
そんな切ない表情を向けられ、思わず沙奈を抱き寄せていた。
「沙奈…。謝るな。
それに…ありがとう。」
「…えっ?」
「沙奈が、体調悪いことを俺に話そうと心の中で葛藤してくれていたんだろう?
今までの沙奈だったら、俺に迷惑をかけたくない気持ちが強くて、頼りたくても頼らず1人で抱え込もうとしてただろう?
だから今、やっと沙奈が俺の事を少しでも信頼して頼っても大丈夫っていう気持ちが芽生えてくれた事がたまらなく嬉しいよ。」
「…大翔先生。」
「だけど、もう自分に負荷をかけすぎないでほしい。
体調が少しでも悪かったりしたら相談して。
きっと、体調が悪いって俺に連絡をしたら早退させられるって思ったんだろうから…。
沙奈がなるべく、体調があまり良くない時でも皆と平等に講義や実習を受けられるようにサポートしたいって思うんだ。
だから沙奈。少しでもいつもと違うって感じたり息苦しさや胸の痛みを感じたら教えてね。」
沙奈の通う大学には、講師が皆医者ということもあって対応が遅れるってことは無いと思うし、必要以上に俺が心配することはないと思うけど…
それでも沙奈の事情を全て理解して、対応してくれるとは思えないから…
少しでも、沙奈が安心した大学生活が送れるようにサポートしていきたい。
沙奈の背中を規則正しくたたいていると、心地よい呼吸の音で眠りについていた。
よかった…
少しでも、沙奈の気持ちが楽になったのかもしれないな…
再び、沙奈をベッドへ戻してから沙奈の部屋を後にした。