素敵な天使のいる夜にー4th storyー
ーSide 大翔ー



「なあ、紫苑。俺の気のせいだったら悪いんだけど…」



「…沙奈の、体重か?」




そう。



沙奈とは頻繁に会っているとはいえ、毎日の些細な変化がどうしても気になってしまう。



3日前に会った頃より、沙奈を抱き上げた時ほんの少しだけど軽さを感じていた。



沙奈を持ち上げてパッと感じたのは、きっと今の体重は30kg前後といったところだろうか。



食欲もないと言っていたし、無理に食べろとは言えないけど。




なるべくなら、栄養になるものを積極的にはとってほしい。




採血結果だって、あまり良いとは言えない。



「もし、このまま口から十分な栄養が取れなくなってしまうと、発作が起きた時も重度の発作に繋がってしまうと思うんだ。


沙奈には、酷だと思うけどそろそろ入院を考えた方がいいと思う。」




点滴で栄養を補う方法を第1に考えるけど…




正直、今の数値から見る限り点滴から栄養を補っていく治療法も視野に入れて考えなければいけない気がしていた。



「今の沙奈の栄養状態だと、入院して点滴治療も考えていかないといけないってことだよな。」



紫苑は、真っ直ぐ俺を見つめ難しい表情でそう話した。



そんな紫苑の言葉に、首を縦に振った。



「入院…?」



隣で横たわっていた沙奈は、半分体を起こし俺に不安な表情を向けていた。



「ごめん、沙奈。もしかして、今の話全部聞いていたのか?」



「薄ら…。入院っていう単語が聞こえて、もしかして私のことかなって思って…」




不安そうな表情で見つめる沙奈を抱き上げ、いつものように膝の上に乗せる。






「紫苑、翔太。


試しにだけど、いつものように、今はとりあえず沙奈の食べられそうなものを作って食べさせてくれないか?


沙奈も。食欲がないところで食事を取るって辛いことだし大変だと思うけど。


今はなるべく、栄養をとることが大切なんだ。


少しずつでいい。食べられそうなものを食べて、夜に点滴を1本入れて様子をみていこうか。」



退院したばかりでまた病院送りになんてさせたくなかった。



入院しても、できることは点滴治療と食事療法に限られる。



それなら、紫苑や翔太がいるこの場所で治療することが大切な気がしていた。



「なあ、大翔。」



「ん?」



「俺達、なるべく沙奈を1人にしないために勤務調整とかしてるんだけど、それでも厳しい日もあって。


もし、大翔の負担にならなければ俺と翔太が家にいられない時に沙奈のこと頼んでもいいかな。」




「紫苑…?」




「沙奈のこと、1人にするより大翔が側にいてくれたら心強い。


それに、沙奈もきっと安心できると思うんだ。」



「俺でよければ。いつでも沙奈の側にいさせて。」



「大翔先生、ありがとう。」



沙奈は、顔を上げると可愛い笑顔を向けてくれた。
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