新・Sなお前とヤケクソな俺




「おはようございます。久しぶりですね」

教室に入ると尾澤に話しかけられた
一斉に視線を感じたけど全部無視

「おはよー元気してた?」

「ええ、あの時は本当に大変でしたが漸く落ち着く事が出来ました。ですがその分私の仕事が溜まりに溜まって……誰かさんは鬼のように電話をかけてきましたし」

「大変だね。ってあれ?」

自分が座っていたはずの場所には既に別の奴が座っていた

誰?


「ああ、朔夜がいない間に席替えがありまして。確か朔夜の席は……」

そう言われて尾澤が指差す場所を見てみると……


「窓際かー……だけど1番前なのが気に入らない」


そっと近付いて行き、窓際の1番後ろの奴に声を掛けた




「ねぇ……」

「えっ?」

「俺って背が高いでしょ?だから後ろの人が見えにくいと思うんだよね……だから代わって?」



「わ、わかった!」

「ありがとう」


すると1番後ろの席の奴は慌てた様子で机を持ち上げ移動を始めた


よしよし……




そして自分の机を1番前から1番後ろへと移動した



へぇ……窓際だと色んな場所が良く見えるんだね
外の景色なんか見た事なかったから初めて知った

運動場も見えちゃうし、もしかすると体育の時とか憂を見つけられるかも


わー何それ超楽しい


授業中の楽しみが1つ増えちゃった



「職員室には寄りましたか?」

「職員室?あ、忘れてた」

「全く、貴方って人は……」

「仕方ないよ。憂と一緒にいたんだから」

「朝から憂君と?」

「うん、そうそう聞いてよ」


「憂君と晴れてお付き合いを……ですよね?浮かれた貴方を見ればよく分かります」

「うん、浮かれてるよ。浮かれない方がおかしいでしょ?凄いねー流石尾澤、良くわかったね」

「顔に出てますよ。後、あれだけしつこく電話をされると嫌でも分かります」

「あ、ちょっと根に持ってるでしょ?」

「いいえ、別に」

「絶対嘘だー」

「さてそろそろ時間です。着席しましょう」

「誤魔化しちゃってさ」

「早く座って下さい」

「はいはい」


尾澤に言われて椅子に座り、直ぐに窓の外を眺めた
たまにふわっと入ってくる風が涼しくて気持ちいい


運動場に次々と集まって来る生徒達を早速じーっと観察してみた



んー……憂のクラスじゃないや
それだったら見ててもつまんないね


ふぅっと溜息をつき机に肘をついて目線を黒板へ移し真面目に聞いてるフリをした
相変わらずつまんない話ばっかだから眠くなる






ここから1年生の教室も見えたらいいのに





本当に頭の中は憂の事ばかり
一緒にいればいる程好きが重なっていくから自分でも驚いてる
今までこんなに人を好きになる事なんてなかったから



ふとあの夜の時の憂を思い出してしまって顔を伏せてニヤついてしまった

やば……あー可愛い、本当可愛い

何なの俺って


俺ってこんなにむっつりスケベだったっけ?


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