新・Sなお前とヤケクソな俺




大急ぎで教室に戻ると、先生はもう来ていてプリントを配っている真っ最中だった

あ、危ねぇ
間に合わなくなる所だった



『……え?』

「何だよ変な目で見やがって」

何故か俺の隣の席は勝哉さんになっていた

あなたは確か向こうだったはずじゃないんですか?


颯太を見てみると、あいつはまた激しく顔を横に振った

「クラスの奴によーお前の場所聞いて変わってもらったんだよ!こうすれば話し易いだろ?」

『マジっすか……』



「そこ!喋るんじゃない!」

プリントを配っている先生がこっちに向かって叫んだ


「うっせー!!てめぇが喋んじゃねーよ糞眼鏡が!!」

すると勝哉さんは先生に向かって吠えた



や、やっぱり朔夜とサボれば良かったかも……









授業が終わって休み時間になって皆んな自由に過ごしているのに俺はまだ自分の席から離れられないでいた

「さっきの銀髪頭は何だ?」

『いえ、別に……』

「あいつ何年?」

『3年です』

「っつー事は俺とタメか」

『あ、やっぱり勝哉さんは俺達より年上になるんですね?あはは……』

「何がおもしれーんだ」

『ごめんなさい』

もうこの状況が全くもって意味がわからない
あれ?俺何でこんな事になってるの?

「お前、虐められてんのか?」

『虐め……ち、違いますよ!!』

「じゃあ3年が1年に何の用があるんだ?」

『それは……』

まさか付き合ってる、だなんて言えないし……


「……まぁいいや。んで、お前名前は?」

『憂です』

「憂?言いずれぇからチビ助な」

『え!?』

「あ?何か文句あんのか?」

『い、いえ……』

今日初めて会った人にいきなりあだ名をつけられてしまった
チビ助……確かにチビだけど悪口あだ名じゃんか



「ゆ、憂?」

颯太が勇気を出して俺に話しかけに来てくれた

「あの、ちょっと憂借りていいっすか?」

「あ?ダチか?」

『はい』

「んじゃあ行け。俺はちょっくら行ってくるわ」

勝哉さんはそう言い、教室から出て行った
きっとまた一服に行ったに違いない




「……大丈夫か?」

『うん、大丈夫』

「いやマジで焦ったから。昼休み朔夜先輩がお前を訪ねて来たと思ったらお前はあの人といるし……一体何があったんだ?」

俺は朔夜に説明した事と全く同じ事を颯太にも説明した





「……いい人だ」

『だろ!?俺もそう思うんだけど。でも話し方とか恐くて』

「んーまぁ確かに見た目と口調がなぁ。ってか朔夜先輩スゲー怒ってそうだったけどそれは大丈夫だったの?」

『ん?ああ、うん。大丈夫』

「ケッリア充め」

『自分で聞いといて何だそりゃ。ただリア充って言葉が言いたいだけだろ?』

「そうだ」

『早くお前もいい相手が見つかるといいな』


「その上から目線が腹立つ」

『何で!?』


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