新・Sなお前とヤケクソな俺
勝哉さんはあれから教室を出て行ってまた戻って来なかった
迷子……ではないと思うけど
そして学校終わって今日はそのまま朔夜んち
教室まで迎えに行くと連絡が来たが断り、正門で待ち合わせする事にした
『あ、尾澤会長お疲れ様です』
下駄箱に向かっている途中、廊下で会長と出会した
「今から朔夜と?」
『はい、待ち合わせしてるので』
「そうですか。ところで憂君、今日昼休み以降随分と朔夜の機嫌が悪かったのですが何か知りませんか?」
『あー……』
原因はあれしかない
「何かありました?」
『えっとですね、今日うちのクラスに転入生が来ましてね。それでちょっと……』
煙草の事は言わずに勝哉さんの話を会長にしてみた
「成る程……もしかしたら今から私が話をしに行く方かも知れないですね」
『話?』
「ええ、ちょっと揉め事があったみたいで……」
『揉め事……』
喧嘩だ。絶対に喧嘩だ
そして勝哉さんに間違いない
『会長も大変ですね』
「先生方に頼られるのはありがたい事です」
ありがたい事?ただ面倒臭そうだけど……
「余り朔夜を待たせてしまったらまたイジけてしまいますね。ではそろそろ行きます、さようなら」
『ははは、じゃあ頑張って下さい』
会長に会釈し、俺は急いで下駄箱へ向かった
「遅かったね」
息を切らせて正門に行くと朔夜が壁に寄りかかって俺を待っていてくれていた
『…………あ、ごめん』
格好良過ぎてつい見惚れてしまった
自分がこんな素敵な人と付き合ってるだなんて今だに信じられない
「どうしたの?」
『ううん、何でもない!ちょっと尾澤会長と廊下でばったり会ったからさ』
「尾澤?」
『うん。何か忙しそうだったよ』
「どうせまた誰かの話を聞くとかそういう系でしょ?別に放っておけばいいのに尾澤は真面目過ぎるんだよ」
『まぁ会長だしね』
「それよりどうする?何処か寄ってから俺んち行く?」
『んーどうしよう』
「晩御飯食べて帰るでしょ?」
『いいの?』
「うん。じゃあ取り敢えずこのまま一緒に買い物行こっか」
『うん!』
2人で仲良く歩いて行く……
良かった、尾澤会長は朔夜の機嫌が悪いって言ってたけど全然大丈夫そうだ
買い物が終わって朔夜んち
ここもすっかり来慣れたもんだ
『朔夜、これどこ置いとく?』
「ああ、後で片すからそこのカウンターテーブルに置いてて」
『わかった』
こんな会話ももう何回目だろう
「適当にテレビでも見てて。あ、テレビでも動画観れるようにしたよ」
『え、マジで?』
「憂が大画面で観てみたいって言ってたから色々調べてさ」
『やった!ありがとうっ』
「やり方わかる?」
『取り敢えずやってみる!分からなかったら聞くね』
「うん」
リビングに向かいソファーに座って早速リモコンをいじった
やり方……えっと、テレビのアプリを起動してと……
『ふんっ余裕だべ』
朔夜んちのテレビのリモコンもすっかりといじり慣れたもんだ
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