新・Sなお前とヤケクソな俺






「会いたかった!」

『ぐえっ』

先輩んちに到着した途端いきなり熱烈なハグをされた

「本当に暇過ぎてさー、これがまだ2週間続くなんて地獄過ぎるよ」

『俺は引き篭もるの得意だけどなぁ』

「見てよあの量、バカじゃない?」

そう言われて見てみると、テーブルの上には有り得ない程の課題の山が……

「朝担任が持って来たんだよ。いらないって言ったんだけどね」

『ははは……』

担任の先生はきっと先輩が住んでる場所を見て腰を抜かしたに違いない

「不定期に様子見に来るんだってさ。居留守しちゃいそうになるよ」

『それは絶対ダメだからね!』

「わかってるよ、ちゃんと大人しくしてるって。だけど不定期に来られたら買い物行くタイミング難しいよね」

『んーまぁそうだな』

「あーあ!早く謹慎期間終わらないかなー……」

そう言って先輩はゴロンっとソファーで横になった





「……おいで」


ドキッ


今日颯太と話してた事を思い出してしまった

やばっ


「ん?どうかした?」

『別に……』

今は先輩の顔を見るだけで恥ずかしくなってしまう
落ち着け落ち着け

鞄を部屋の隅に置かせてもらい、ソファーの端に座った

「遠いなぁー」

『先輩寝転んでんじゃん』

「それもそうだね」

そう言って先輩は起き上がり自分の隣をポフポフと叩いた

『……』

ダメだ、あの動画が頭から離れん

「どうしたの?」

『ん、ちょっと……緊張しちゃって』

「相変わらず可愛い事言うよね。大丈夫だからおいで」

『……うん』

先輩の隣に座り直した

「今日学校どうだった?大丈夫だった?」

『うん。……あいつ学校辞めたって』

「まぁそうだろうね」

『うん』

「……そっか」

『うん』

「…………」

先輩は無言で俺の頭を撫でた

『何?』

「ん?何となく?」

『先輩っていつも距離近いよね』

「そりゃー好きだからね」

『……』

やばっまた恥ずかしくなってきちゃった



「本当にどうしたの?何かあったの?」

『別に何も!あ、尾澤会長が軽率な行動は慎むようにって言ってたよ』

「軽率な行動?何それ」

『さぁ……』

「例えばこんな?」

『!!』

引き寄せられ頬にキスされた

「危ない!」

それにびっくりした俺はソファーからずり落ちそうになったんだ

.


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