新・Sなお前とヤケクソな俺




泡風呂を満喫してその後はいつも通り先輩と飯食って……

んー幸せ

「一緒に入りたかったけどまた怒りそうだったからやめたよ」

『うん、やめて』

そしてベッドの中でまた雑談タイム
薄暗い寝室でいつものように先輩と一緒にまったり




『…………』


ごめんなさい……

俺からキスして驚かすだなんて超ハードルの高い野望を抱いてしまってすいませんでした

先輩の顔を目の当たりにしたらドキドキし過ぎて本気でイモりました
って言うか先輩マジ格好良過ぎ……鼻血レベル


「ん?どうしたの?」

『別に!』

布団を頭まで被り恥ずかしさを誤魔化した

「やっと自由になるから本当嬉しいよ」

『うん』

「俺がいない間昼休みは何してたの?」

『ん、颯太とバカ騒ぎしてた』

「本当に仲良しだね」

『うん、中学から仲良いからね』

「ふーん、ちょっと妬けちゃうな」

『友達だって』

「知ってるよ」

昼休みに颯太とバカ騒ぎ……
男同士のあれやこれをわーわーギャーギャー言ってただなんてとても先輩に言える内容じゃないな


「明日も夕方からバイト?」

『ううん、明日は休み』

「じゃあ遅くまで一緒にいれるんだね」

『うん』

「嬉しい」

『……うん』

さっきからドキドキし過ぎて顔が熱い
くそっいつになったらこの状況に慣れるんだ
寝てしまえば朝まで爆睡してるくせに眠りにつくまでが毎度毎度大変だ






「全然眠くないや」

『ん、俺も』

「……」











沈黙になってしまった




沈黙が苦手な俺は何か話題はないかと頭の中で色々考えた
最近の出来事?いや、毎日のように話してるからそれはなし
バイト……いや、そんな話はつまらん
ゲーム?それも話し飽きてる感があるし
学校……特に話題はねぇ

んーーーー



「そんな難しい顔しちゃって」

『え?』

「眉間にしわが寄ってるよ」

『本当?』

「一体何を考えてたのかな?」

『別に!』


頭を枕に置き直し先輩と向き合った


『……そう言えばだいぶ前にさ』

「ん?」

色々考えてたらふとあの事を思い出した

『俺が初めて先輩んち泊まった日にさ、遠目だったんだけど……先輩誰かに告られてたよな?』

「え?何それ?」

覚えてないのか……

『学校出てすぐぐらいの所で先輩が誰かといるのたまたま見かけてさ、すれ違う奴らが何か告ってるとか何とか言ってるの聞こえて』

「えー?そんな事あったっけ……憂が初めて俺んち泊まった日でしょ?」

『うん』

「初めて泊まった……あっ」

何か思い出したようだ

『思い出した?あれ結局何言われてたの?やっぱ告られてたの?』

「いや、その事じゃないよ」

『……?』

「んー……うん」

『え?何?他に何かあったの?』

「まぁね」

『気になる!何?何があったの?』

「んーー……でもなぁ」

『言っちゃえ言っちゃえ!』

「そう?」

『うん!』

「怒らない?」

……怒らないとはなんぞ?

『わ、わかった。怒らない』

「約束する?」

『約束する!』

「……実はあの日が俺達の初キスなんだよね」





『ん?どゆ事?』

「憂が酔っ払った日でしょ?あの時……俺、憂を襲いかけちゃって。あ、大丈夫!未遂だから!」




『は、はぁぁぁああ!?』


あの時起こった出来事を先輩は話してくれた

それを聞いた俺はまた赤面してしまった

呼び起こされるあの日の記憶……

あれは夢じゃなかったのか!!
やたらリアルな夢だと思ってたけどガチじゃん!!


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