幼馴染が××すぎる。
「もちろん。お腹真っ黒同士、早く帰ろー」


「あ、ごめん。わたし彼氏が待ってんだ」


さくらがなんでもない感じで言う。


「え!?彼氏!?」


こないだ別れたばっかじゃなかった!?


「昨日できたの。ンフ。」


このほんわかスマイルに何人の男子が騙されたのだろう。


「そっすか…」


「なーに?寂しい?姫も彼氏作ったらいいのに」


さくらは私の腕に自分のそれを絡ませて、顔を覗き込んでくる。


「いらないよ」


「出ました、ボールが恋人」


「そうだよ。ボールが恋人。ぶっ叩いても文句言わない最高の恋人だよ」


「木屋谷くんは?いつ付き合うの?」


…ほら見ろ。さくらが変な勘違いしてる。


「キヤはそういうんじゃないから。ほら、早く彼氏んとこ行ってきな。」


「そんじゃお言葉に甘えて♪また明日〜!」


「んー」


スキップするさくらを見送って、私は1人校舎を出て暗い道を歩き出す。




…彼氏、か。

キヤと付き合うなんて、

考えたこともない。





ーーー『男なのになんで姫って名前なんだよ』



…これは中学の時、クラスの男子に言われた言葉。

ほんと、なんでだろうね?












「相田?」



降ってきた声にハッとする。
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