幼馴染が××すぎる。
「「…」」




少し雲が残る綺麗な星空の下、

先輩と2人、並んで帰路に着く。

私と先輩のローファーの音と衣擦れの音だけが、暗い夜道に鳴り響いている。




なんだ…?

なんだなんだ?

なんか話したいことがあるんだろうけど…

なんで先輩こんなに気まずそうなんだろう?

そうこうしてる間にもう家まで数十メートル。



「あの、さ」



そこでようやく陽介先輩が口を開く。



「あっ、はい」


「相田って…好きな人いるの?」


「うーん、現役のプロバレー選手だとー…」


「いや…恋愛的な意味の、好きな人」


恋愛的…?

恋バナがしたいのかな?


「あー、いないですよ。今はバレーに集中したいんで。陽介先輩はいるんですか?」


私が聞くと、恥ずかしそうに「うん」と言う陽介先輩。


…あ!

もしかして、さくら!?


「えっと…私に近しい人ですか?」


もうちょっと早ければ!惜しいです先輩!

でも、こんないい人をあのフェロモンの毒牙にかけなくて良かったかも…?




「近しいっつーか……あ…あい、だ」


「間?」


近しいのと遠いのと、の、間ってこと?

どの辺?


「いや、だから……」




私の倍はありそうな先輩の大きな手が、私の手首を掴んだ。





「俺が好きなのは……、相田、姫乃」









先輩、それ、


私の名前ですけど





顔を赤くさせてこちらを見る陽介先輩に、

ようやく意味を理解して心臓がドクン、と跳ねた。








その時、

先輩の手が弾かれて別の手に引っ張られた。








「…!」







え…


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