幼馴染が××すぎる。
キヤは私に顔を向けることなく、ズンズン家までの道を歩いていく。






ーーー『姫』






私が『仁』じゃなく『キヤ』と呼ぶようになった頃から

『なぁ』とか『お前』とかで代用されるようになった、私の名前。


キヤがそれを、呼んだ。






もう飽きるほど見たはずのキヤの背中に、心臓がバクバクと大きな音を立てて、

顔が焼けるように熱くなっていく。

キヤにギュッと繋がれてる手は、さっきまでサラサラだったはずなのに、じっとりと汗が滲んでる。



…なにこれ。

なにこれ!



あっという間に家に着くと、キヤは何も言わずに手を離して玄関の鍵を開ける。



「…キ、キヤ?」


「…」


「ねぇ、キヤってば」


「なんだよ」


キヤは振り向かずに冷たい声を出す。


「……なんで怒ってんの?」


「別に怒ってねー」


「…」


…超怒ってんじゃん。
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