幼馴染が××すぎる。
思えばキヤは、私が作るごはんに文句こそ言えど

それがどんなにおいしくなくても

残したことは一度もなかった。





「……残さないでね?」





キヤはゲホゲホとむせながら、私の目を見た。





「……おう。」





しっかりと返事してくれたキヤに、

胸がどうしようもなく切なくなって

好きだ、と思った。





あったかくて苦しいこの気持ちを、

誤魔化すように私も冷麺をすすり始める。



「ん"っ、ゲホッ、辛…っ、辛い!死ぬ!」

「お前が作ったんだろ!…あ、卵入れよう」

「私も!」

「お前はダメ」

「えっ、なんで!?」

鬼か!?

「…罰」


キヤは私の方は見ずに言った。


「罰?」

「お前はちょっと反省しろ」

「え…?なにを…?」



キヤは返事の代わりに不機嫌な流し目を寄越した。





そういえば私たち、喧嘩してたんだったな。

結局キヤがなんで怒ってたのかよくわからないけど、

私が耐えることでキヤの気が済むなら言う通りにしよう…。


「…わかりました。」

「うむ。」



キヤの満足げな返事を聞いて、私は再び真っ赤な冷麺を口に運ぶ。



「〜〜〜ッ」



何回食べても口が慣れない。

これはガチやばい。

口の中が、食道が、胃が、身体中が焼ける。

ほんとに、死ぬ!



私が口を押さえて悶絶していると、

パカ、と音がした。


見ると、キヤが生卵を落としてくれている。
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