幼馴染が××すぎる。
キヤがぐ、と顔を近づけた。






う、わ


待って待って


いま、キャパオーバーしたんで待ってください







「…なぁ。」


相変わらず真剣な顔のキヤが、私の目をしっかり捉えて静かに言う。


「それ、幼馴染にする顔?」


「え…?」


「…お前ってほんと意味わかんねぇ。めんどくせぇ。ホントなんなの?歯磨き粉の量とか細かいことうるせぇし、卵焼きも生姜焼きも苦ぇし」


…ん?悪口言われてる?

キヤは何かが限界に達したみたいにつらつらと言葉を並べていく。


「大体、無防備すぎんだよ。
無自覚に背の高いイケメン釣って告られたり、家ん中じゃ呑気に俺の前をうっすい服でうろついて平気で触ってくるし、着替える時もたまに部屋のドア開いてたり、お前は随分平和そうな顔してるけどこっちは朝から晩まで気が気じゃねぇんだよ。今だってなにこのショーパン?ほぼパンツじゃん。エロいんだよ、ふざけんな。殺す気か!」


押し寄せる怒涛の文句たちに、私は瞬きすることすら叶わない。


「なんでわかんねぇんだよ。なんで俺に女の子紹介して家で1人で泣きながら辛すぎる飯食ってんだよ、アホか。」


「…えっと…、」


「お前はアホだ。大アホ。ビッグアホの称号を授けよう。」


「キヤ…?」


「キヤじゃねぇ。」


「…!」


キヤの目が、


「仁」


濡れている。


「…俺は仁で、お前は姫だろ…?」
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