幼馴染が××すぎる。
そして、震える声を私に落とす。


「なんで?なんで俺は仁じゃなくなったんだよ。キヤって呼ばれる度に俺がどんだけしんどかったか、わかってねぇだろ」


仁が、私の手を引いて自分の胸に押し当てた。


「俺のここが、幼馴染のお前に今、どんだけ苦しくなってるかわかる?」


それはそれは

大きくて、速くて、

もう破裂しちゃいそうな心臓の音で。


私は信じられない気持ちで、仁を見上げる。


「初めて会った時からずっと、お前は……姫は、俺にとってただの幼馴染じゃない。
悪いけど、やましい気持ちしかない。」



ポタ、と私の頬に仁の気持ちが落ちた。



「だから俺は、今から姫にキスする。」



仁はそっと私の頬に手を添えた。



「嫌なら、逃げて」



ズズ、と鼻を啜りながら



「今まで通りただの幼馴染でいたいなら、逃げろよ」



消え入りそうな、掠れた声で言う。



「…はやく逃げろよ」




















「………おい」






動かない私に、仁が困惑し出した。



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