押しかけ婚〜あなたの初恋相手の娘ですが、あなたのことがずっと好きなのは私です
「ゆり・・あ?」
額にキスした私をしいちゃんが見上げる。
「おかえりなさい、しいちゃん」
「ただいま・・え、あ、オレ、帰ってきたのか、今、何して」
まだ寝ぼけているのか、自分がどこにいるのかもわからなくて、すぐに状況が判断できずにいる。腕をついて上半身を起こすとお腹の筋肉が浮き出た。痩せたと言うよりは以前よりずっと引き締まっている。ボクサーパンツ一枚の姿もかっこいい。
「無防備に寝ているから、襲っちゃった」
「おそ・・お前、いつの間に」
私から遠ざかるようにして後ろに手をついて傾ける。寝込みを襲われるとは思わなかったらしい。
「いつの間に男を襲うような子になったのかって?」
私が彼の台詞の続きを口にすると、しいちゃんはぶんぶんと頭を縦に振った。
「他の人にしたことはないよ」
ベッドに体を乗り上げ、しいちゃんに近づく。
「ねえ、私少しは大人になった?」
ベッドの上で正座になって向き合う私を、しいちゃんは戸惑いながらもまじまじと観察する。
この六年、メールでのやりとりはしていたけど、ビデオ通話などはしなかった。しいちゃんに私がどんな風に成長しているか、想像してもらいたかったから。
「もう二十四歳だ。二十歳を過ぎて四年経つんだから充分大人と言えるだろ?」
「そんなこと聞いているんじゃないの、わかってるよね」
実年齢のことを聞いているわけではない。
「何歳になっても友梨亜は友梨亜。オレの中では変わらない」
そう言って右手で髪を掻き上げる。困ったときにしいちゃんがする仕草だった。
「私にとってもしいちゃんはしいちゃん。私の中でしいちゃんの存在は今も変わらないよ」
「からかうのはやめなさい。オレはもう三十六だ。友梨亜から見れば立派なおじさ」
「おじさんじゃない!」
しいちゃんの言葉をそれ以上聞きたくなくて、腕を伸ばして押し倒し、無理矢理唇を奪った。
「ん、ちょ、ゆ、んん」
逃れようとするしいちゃんの両頬をがっしり両手で挟んで、さらに舌をつっこんだ。
少しかさついていたが、しいちゃんの唇は温かく、私は夢中で貪った。
六年ぶりに感じるしいちゃんの体温。息づかい。私が使っているシャンプーの香りがする。それしかなかったからだけど、自分と同じ香りのしいちゃんにクラクラする。
「ゆ、友梨亜」
肩を掴まれ、ぐいっと押しのけられる。
「いきなりキスするとか、いい大人をからかうんじゃない。こういうことは気軽にするものじゃ」
「どうして? どうしていつもしいちゃんは、私が好きだと言ったり、迫ったりするとからかっていると思うの?」
「それは、オレが十二も年上」
「世の中にはもっと年が離れている夫婦だっているし、そんなの理由にならない」
今も昔も私としいちゃんの間には十二歳の年の差がある。私が未成年の時は、それが殊更に大きく感じていた。
でも、二十歳を過ぎてもしいちゃんは年の差を楯に権勢してくる。
「しいちゃんが私を受け入れられないのは、私がお母さんの娘だから? しいちゃんの初恋の人の娘とは恋愛できない?」
「友梨亜、どうし・・」
私がお母さんのことを口にして、明らかにしいちゃんは動揺を見せた。
額にキスした私をしいちゃんが見上げる。
「おかえりなさい、しいちゃん」
「ただいま・・え、あ、オレ、帰ってきたのか、今、何して」
まだ寝ぼけているのか、自分がどこにいるのかもわからなくて、すぐに状況が判断できずにいる。腕をついて上半身を起こすとお腹の筋肉が浮き出た。痩せたと言うよりは以前よりずっと引き締まっている。ボクサーパンツ一枚の姿もかっこいい。
「無防備に寝ているから、襲っちゃった」
「おそ・・お前、いつの間に」
私から遠ざかるようにして後ろに手をついて傾ける。寝込みを襲われるとは思わなかったらしい。
「いつの間に男を襲うような子になったのかって?」
私が彼の台詞の続きを口にすると、しいちゃんはぶんぶんと頭を縦に振った。
「他の人にしたことはないよ」
ベッドに体を乗り上げ、しいちゃんに近づく。
「ねえ、私少しは大人になった?」
ベッドの上で正座になって向き合う私を、しいちゃんは戸惑いながらもまじまじと観察する。
この六年、メールでのやりとりはしていたけど、ビデオ通話などはしなかった。しいちゃんに私がどんな風に成長しているか、想像してもらいたかったから。
「もう二十四歳だ。二十歳を過ぎて四年経つんだから充分大人と言えるだろ?」
「そんなこと聞いているんじゃないの、わかってるよね」
実年齢のことを聞いているわけではない。
「何歳になっても友梨亜は友梨亜。オレの中では変わらない」
そう言って右手で髪を掻き上げる。困ったときにしいちゃんがする仕草だった。
「私にとってもしいちゃんはしいちゃん。私の中でしいちゃんの存在は今も変わらないよ」
「からかうのはやめなさい。オレはもう三十六だ。友梨亜から見れば立派なおじさ」
「おじさんじゃない!」
しいちゃんの言葉をそれ以上聞きたくなくて、腕を伸ばして押し倒し、無理矢理唇を奪った。
「ん、ちょ、ゆ、んん」
逃れようとするしいちゃんの両頬をがっしり両手で挟んで、さらに舌をつっこんだ。
少しかさついていたが、しいちゃんの唇は温かく、私は夢中で貪った。
六年ぶりに感じるしいちゃんの体温。息づかい。私が使っているシャンプーの香りがする。それしかなかったからだけど、自分と同じ香りのしいちゃんにクラクラする。
「ゆ、友梨亜」
肩を掴まれ、ぐいっと押しのけられる。
「いきなりキスするとか、いい大人をからかうんじゃない。こういうことは気軽にするものじゃ」
「どうして? どうしていつもしいちゃんは、私が好きだと言ったり、迫ったりするとからかっていると思うの?」
「それは、オレが十二も年上」
「世の中にはもっと年が離れている夫婦だっているし、そんなの理由にならない」
今も昔も私としいちゃんの間には十二歳の年の差がある。私が未成年の時は、それが殊更に大きく感じていた。
でも、二十歳を過ぎてもしいちゃんは年の差を楯に権勢してくる。
「しいちゃんが私を受け入れられないのは、私がお母さんの娘だから? しいちゃんの初恋の人の娘とは恋愛できない?」
「友梨亜、どうし・・」
私がお母さんのことを口にして、明らかにしいちゃんは動揺を見せた。