押しかけ婚〜あなたの初恋相手の娘ですが、あなたのことがずっと好きなのは私です
「しいちゃんがお母さんを見ていた目、私がしいちゃんを見ていたのと同じだったもの」
大好きだったお母さん。同時に私には永遠に勝つことができない恋のライバル。
「お母さんを思い出させる私の傍にいるのは嫌なんじゃ無いかって思ったこともあった。しいちゃんは私の初恋の相手なだけで、大きくなったら他に好きな人ができるかもって思った。でも、私にはしいちゃんしかいない。ずっと、ずっと好き。しいちゃんがだめなら、私、一生誰とも恋愛も結婚もしない」
ずっと胸の内に抱えてきた想いを一気にぶつけた。帰ってきたばかりできっとまだ時差ぼけもあるだろう状況で、ここまで言うつもりは無かった。でも、しいちゃんに仄かな恋心を抱いた幼い頃からの私の想いを、たかだか年の差を理由に拒絶されたくなかった。
「私が嫌いなら、もっとはっきり嫌いだと思う理由を教えて。もしくは他に本気で好きな人がいるならそう言ってくれて構わない。辛いけど、それなら私は諦める。すぐには無理でもいつかしいちゃんのことを忘れる努力をする。でも、年の差がどうとか世間体を気にするような言い訳で、十年以上想い続けた私の時間を無駄にしないで」
「イタッ」
呆然とするしいちゃんに覆い被さり、肩を思いっきり噛んだ。本当はキスマークを付けたいところだったが、今の私の感情はそんなものでは収まらない。
「友梨亜・・・」
呆然と私を見るしいちゃんの肩にうっすらと血が滲み出て、それを見て少しだけ溜飲が下がった。自分は実は加虐趣味でもあるのかと疑った。
「その傷が消える前に、答えを聞かせて。もし私の納得のいく答えでないなら、これからの私の人生を背負ってもらいますから」
それだけ言って、私はバタンと部屋を出て行き、そのまま隣の大澤家に乗り込んだ。
「あら、友梨亜ちゃん、どうしたの? 真嗣は?」
相変わらず仲のいい孝嗣おじさんと真奈さんは、一緒にリビングのソファでネット配信のドラマを観ていた。
「しいちゃんに告白して押し倒した」
正確には押し倒してキスを奪い、それから告白したのだが、それはどうでもいい。
「え、いきなり?」
「それで真嗣は?」
慌ててテレビを消して二人同時に叫んだ。
真奈さんだけでなく、孝嗣おじさんも私の想いは知られていた。日本に帰国して以来、二人は私の親のつもりで可愛がってくれた。いつかしいちゃんが私に想いに応えてくれる時が来て、本当の娘になってくれたらとまで言ってくれた。
「相変わらず年の差がどうとか寝ぼけたことを言うから、肩に噛みついてやりました」
「え」
「あらあ、過激ね。でもそれくらいしてあの子にはちょうどいいかも」
孝嗣おじさんは驚いているが、真奈さんはよくぞやったと褒めそやしてくれた。二人にはしいちゃんのことで秘密は無い。彼がいない間、二人はすでに私の完全なる味方になっていた。
「傷が治るまでに白黒つけろと言ってきましたので、お二人もそのつもりでよろしくお願いします」
「わかったわ。あの子が友梨亜ちゃんを選ばなかったら、勘当して友梨亜ちゃんを養女にするわ。ね、それでいいわね。孝嗣さん」
「もちろん。我が息子ながら呆れるほど鈍感で、父親として情けない」
「ありがとうございます」
パンツ一枚で寝ていたのもあるだろうが、今頃しいちゃんはくしゃみを連発していることだろう。
そのまま私は週末を大澤家で滞在することになった。一人になって唇に触れしいちゃんとのキスを思い出し、私は夢の中でもう一度彼にキスをしていた。
大好きだったお母さん。同時に私には永遠に勝つことができない恋のライバル。
「お母さんを思い出させる私の傍にいるのは嫌なんじゃ無いかって思ったこともあった。しいちゃんは私の初恋の相手なだけで、大きくなったら他に好きな人ができるかもって思った。でも、私にはしいちゃんしかいない。ずっと、ずっと好き。しいちゃんがだめなら、私、一生誰とも恋愛も結婚もしない」
ずっと胸の内に抱えてきた想いを一気にぶつけた。帰ってきたばかりできっとまだ時差ぼけもあるだろう状況で、ここまで言うつもりは無かった。でも、しいちゃんに仄かな恋心を抱いた幼い頃からの私の想いを、たかだか年の差を理由に拒絶されたくなかった。
「私が嫌いなら、もっとはっきり嫌いだと思う理由を教えて。もしくは他に本気で好きな人がいるならそう言ってくれて構わない。辛いけど、それなら私は諦める。すぐには無理でもいつかしいちゃんのことを忘れる努力をする。でも、年の差がどうとか世間体を気にするような言い訳で、十年以上想い続けた私の時間を無駄にしないで」
「イタッ」
呆然とするしいちゃんに覆い被さり、肩を思いっきり噛んだ。本当はキスマークを付けたいところだったが、今の私の感情はそんなものでは収まらない。
「友梨亜・・・」
呆然と私を見るしいちゃんの肩にうっすらと血が滲み出て、それを見て少しだけ溜飲が下がった。自分は実は加虐趣味でもあるのかと疑った。
「その傷が消える前に、答えを聞かせて。もし私の納得のいく答えでないなら、これからの私の人生を背負ってもらいますから」
それだけ言って、私はバタンと部屋を出て行き、そのまま隣の大澤家に乗り込んだ。
「あら、友梨亜ちゃん、どうしたの? 真嗣は?」
相変わらず仲のいい孝嗣おじさんと真奈さんは、一緒にリビングのソファでネット配信のドラマを観ていた。
「しいちゃんに告白して押し倒した」
正確には押し倒してキスを奪い、それから告白したのだが、それはどうでもいい。
「え、いきなり?」
「それで真嗣は?」
慌ててテレビを消して二人同時に叫んだ。
真奈さんだけでなく、孝嗣おじさんも私の想いは知られていた。日本に帰国して以来、二人は私の親のつもりで可愛がってくれた。いつかしいちゃんが私に想いに応えてくれる時が来て、本当の娘になってくれたらとまで言ってくれた。
「相変わらず年の差がどうとか寝ぼけたことを言うから、肩に噛みついてやりました」
「え」
「あらあ、過激ね。でもそれくらいしてあの子にはちょうどいいかも」
孝嗣おじさんは驚いているが、真奈さんはよくぞやったと褒めそやしてくれた。二人にはしいちゃんのことで秘密は無い。彼がいない間、二人はすでに私の完全なる味方になっていた。
「傷が治るまでに白黒つけろと言ってきましたので、お二人もそのつもりでよろしくお願いします」
「わかったわ。あの子が友梨亜ちゃんを選ばなかったら、勘当して友梨亜ちゃんを養女にするわ。ね、それでいいわね。孝嗣さん」
「もちろん。我が息子ながら呆れるほど鈍感で、父親として情けない」
「ありがとうございます」
パンツ一枚で寝ていたのもあるだろうが、今頃しいちゃんはくしゃみを連発していることだろう。
そのまま私は週末を大澤家で滞在することになった。一人になって唇に触れしいちゃんとのキスを思い出し、私は夢の中でもう一度彼にキスをしていた。