オトメの魔法
2人目は森の妖精
何とか起きあがって目を開けると,ビックリ。
息も忘れて,女の子は目を見開きました。
二足歩行の大きな動物。
その大きな瞳と,至近距離で目が合ったのです。
ーっきゃぁあぁあ!!?
女の子は誰か助けてくれと言わんばかりに悲鳴をあげます。
そこに居たのは,紛れもない熊。
女の子よりずっと大きな,熊が居たのです。
女の子の悲鳴を聞いて,誰かが茂みの奥からやってきます。
『ベーさん! 誰かいたの? …え,女の子?』
困惑した様子の彼には,羽がついていました。
そして驚くことに,さっき別れたばかりの王子様と瓜二つ。
声を失う女の子を,べーさんと呼ばれた熊が毛だらけの前足で差し出すと,彼は気を取り直したように微笑みます。
それは,女の子を安心させる,優しい笑みでした。