オトメの魔法
妖精は励ますようにそう言うと,手品のように花束を出して見せました。

ー素敵! …くれるの? ありがとう!

女の子は大事そうに,その花束を抱き締めます。

『ずっとここに居たらいい。可愛い可愛い女の子。俺と付き合ってください』

ロマンチックで優しい妖精さん。

妖精さんもやっぱりお付き合いなのね。

女の子はおかしく思って,微笑みます。

けれど,そんな不思議さよりも,女の子は妖精からの告白を嬉しく思いました。

女の子は前に一歩踏み出して,けれど転んでしまいました。

あろうことか,後ろ向きに。

驚いた顔の要請が,必死に女の子へと手を伸ばします。

けれど間に合わず,女の子の後ろにあるものみた妖精は,さらに目を丸くしました。

『だめ! それに近づいたら…』

そう言われても……女の子は倒れていくしか出来ません。

困った顔で倒れていくと,後ろにあった鏡に,女の子は吸い込まれてしまいました。
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