オトメの魔法
何か,聞こえた気がします。

でも,それは聞こえたというより,頭の中に流れ込んできたようなものでした。

そこに,女の子を連れてきた張本人のうさぎがぽふっと現れました。

『どう? 楽しかった?』

ーえっ?

戸惑う女の子を見て,うさぎはふわりと笑います。

『良かった』

ーまだ何も答えてないわ。

返事に困ってふるふると首を振ると,うさぎはぴょんっと手の上に乗ってきました。

『返事なんていらない。全部分かるもの。それにもう時間切れ。魔法が切れるわ』

うさぎはもふもふとする毛の中から,透明なビンを取り出すと,カパリと開けました。

女の子の目の前で『世界が』吸い込まれていきます。

言葉を探している内に,女の子を真っ直ぐ見つめていた人も,女の子も,同じように吸い込まれてしまいました。


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