オトメの魔法
『それ,綺麗ね。私それがいい』

うさぎが前足で指したのは,女の子の500円。

女の子はぎょっとして

ーめっこれはお金なの,食べ物じゃないわ

子供をしかりつけるように,ゆっくり教えます。

『いいから』

ーあっ

うさぎはひょいっと,女の子から500円玉を取り上げ,ごくりと飲み込んでしまいました。

『ふふっあなた,とても良い子ね。私のために,ずっと前から欲しがっていた本を,諦めてくれたんでしょう? その為にずっと頑張っていたのに』

ーえっどうして知っているの?

女の子が尋ねると,うさぎはゆっくり目を閉じて……

じっと見つめる女の子の前で,真ん丸でふわふわとした,綺麗なうさぎに早変わりして見せました。

『ついておいで。優しいあなたに,私からプレゼント』
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